しかし,本作ではそれが裏目に出ている.2曲目"J. T."はとても好きなバラードで,彼のサックスの良さが出ていると思うが,その他の曲は妙に型にはまっていて,彼のサックスの特徴である伸びやかな音色が聴けない.特に,"You are everything"のカバーはどうにかならなかったのかと思ってしまう.当時脂ののりきっていたDavid Sanbornが,この曲をソロで吹いた方がどれだけ良かったか.おいしいトロの脂が抜けてしまったみたい.
ある意味「先を行っていた」作品であり,実験的でもあったわけで,昔からのDavid Sanbornのファンとしては感慨深いものがあるが,そうでないリスナーにはあまり勧められない.これを聴く前に,こいつの前々作"Straight to the heart",前作"A change of heart"を聴いてほしい.