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国家の品格 (新潮新書)

藤原 正彦
売上順位:5138
評価:評価:3.5
発売元:新潮社新潮社新潮社
発売日:2005-11
¥ 714

通常24時間以内に発送
関連ジャンル
政治学
政治
社会・政治
ジャンル別



評価:1大衆にウケて、専門家にウケない本
別に画期的でもなんでもなく、目新しい事は何一つ書いていません。

国際化が俗悪的なアメリカ化であるという議論はもうかなり前から行われております。

ハイエクは、「規制緩和をすれば経済はうまくいく」とは一言も言ってません。彼は、自由競争のためには政府の介入は極力避けるべきであるが、「自由競争が正しく行われるための制度は政府によって作られるべきである」と明確に述べております。

民主主義の起源はジョン・ロックではありません。直接民主政は古代ギリシアから行われておりました。もっというと、民主主義はdemocracy、つまり人民による支配という意味で、そこに主義思想の意味は入りません。

とまあ、ちょっと歴史を学んだ人間ならすぐ気づく部分が山ほどあるわけです。

もちろん、部分的には納得できる部分もありますし、文章も面白いですが、著名な人物が政治学や歴史についての知識を持たずに面白おかしくいたずらに大衆を煽るような文章を書くと、煽られた大衆の処理が後々問題になってくると思うのですが、いかがですか?

「弱きを助け、強きを挫く」のが武士道であり、それが「市場原理主義」や「民主主義」に代わるとするならば、誰が「弱きを助け、強きを挫く」のか?そして、誰が「弱き者」「強き者」を決定するのか?市場経済では値段や収入が、民主主義では投票結果がそれを決めていたが、武士道はどうなのか?考えて欲しいです。


評価:5文藝春秋の「名著講義」と併せて読むと理解できます
この本を最初読んだときは誤解した。実学から離れた、高齢数学者の自己肯定かと思った。

その後、文藝春秋連載の「名著講義」を読んで、筆者に関する認識が変わった。このひとは数学だけのひとではない。文学、歴史にも深い教養を持った当代を代表する知識人である。教養とはなにか、なんのために身につけるのか、これまでの膨大な読書と思索のうえに、確固とした信念を築いている。

この本は新書本であり、文字数に制限がありすぎる。筆者の主張を誤解を受けないよう、丁寧に解説するには、あまりにも文字数が足りない。内容が大きいだけに、新書では言葉足らずになってしまうのだろう。

文藝春秋連載の「名著講義」を読まないと理解いただけないかもしれないが、筆者の見識は本物である。この本は、その見識のごく一部であり、エッセンスであり、サマリーにすぎない。

将来、十分文字数の確保された単行本で、改訂版が出ることを期待する。その間、文藝春秋連載の「名著講義」を読むことをお勧めする。


評価:5経済破綻を予言
3年前の発行直後にこの本を読んで感激しました。サブプライムに始まる最近の世界経済破綻に遭遇して、この本に何かが書かれてあった様な気がして読み直してみました。
そこでは、市場原理主義を徹底的に批判しており、金融派生商品、すなわち現在問題になっているサブプライム等のデリバティブ、を最大級の時限核爆弾と評しています。デリバティブがいったん破綻したら1000兆円の不良債権が発生し、世界を大混乱に陥れると書いてあります。門外漢の数学者による経済論とその時は読み飛ばしたものですが、現在の状況をあまりにも的確に予言していて正直びっくりしました。経済学者・エコノミスト、あるいはマスコミでこのような予言をした人を私は知りません。
本書で経済に触れている部分はそこだけですが、藤原先生の慧眼には心底驚かされました。


評価:2共感する部分もあるが論が飛躍しすぎ
大変話題になった本書を、最近になってやっと読んでみた。細かい点のテクニカルな間違いなどは語られ尽くした感があるので他のレビューに譲って自分の感想を述べると、情緒や美しい自然に日本人のルーツを求める点などには、心情的に共感する。自分のように海外生活が長くなると、そういった普段は見過ごしてしまいやすい日常の情景や環境が、人を形作っていく点で重要な意味をもつという点には、同感できるからだ。

本書のように、自己のルーツを過大評価する文章を読むと、口が悪くなってしまうが、歳を重ねた醜女が、とても可憐だった自分の若い頃の青春時代について延々と語る自慢を聴かされているような、生理的に不愉快な感覚を持つ人間は多い。反対にそこらにツボを感じる読者もいるだろうが、普通のバランス感覚をもった読者には受けつけられない。部分的には面白い主張があっても、本書を全体的に否定したくなってしまう理由にもなる。

情緒や非論理性を過大評価し、日本人論にしたてあげてしまっていることも、行き過ぎの感がある。まがりなりにも数学者というか学者であるにもかかわらず、情念的な文章でもって持論の裏付けにも底の浅い事例をくっつけるというパターンは、新書ベストセラーとして読者を惹きつけはしたが、一般論として耐えうるものではない。数多い専門的な間違いも、見抜ける人間にとってはこの本の底の浅さを露呈する結果となった。

主張が国家論みたいな方向へ暴走したが故に、小話として自体は面白い主張が仰々しく扱われてしまい、意味もなく賞賛されたり否定されたりする結果を招いた気がする。

ひねくれもの自分は、本書が話題になっていた時期に筆者による処女作のエッセイ「若き数学者のアメリカ」をわざわざ読んでいた。筆者の作品を読むなら、「国家の品格」ではなくそちらを心から薦めたいと思う。海外にどっぷり浸って生活してみたいと思っている若い人には、是非一読する価値があると思う。面白いのは、「若き数学者」は魅力的で柔軟性溢れる若者のダイナミックな海外生活を存分に描いているものの、筆者の根底にある日本情緒といったものへの憧憬は処女作のころからしっかりと根付いていることである。

大学教授というある意味温い地位に甘んじてか、私考の硬直と老醜を感じてしまう「品格」と違って、「若き数学者」だった藤原青年の回り道の方により深い感銘を覚える日本人が多くなることを願って止まない。


評価:5お勧め!
米国発の金融破綻によって世界が振り回されている今、日本・日本人がもう一度深く考えなければいけないことが書かれていると思います。是非、お勧めします。